ファイルが変更されたら特定のコマンドを実行するentrというシンプルなツール

あるファイルが変更されたら特定のコマンドを実行したいというケースは良くある。例えばテストの自動実行とかブラウザの自動リロードとかサンプルコードを走らせたいとか。
これらを解決する手段としてguardが有名だしgulpで解決している人も多い。

entrはそんな「ファイルの変更を検知してコマンドを実行する」ツールの一つ。

こちらの動画で使用されているのを見て知った。entrの登場は開始50秒くらいから。


Goライブコーディング: go-switchgen(2倍速)

コンセプトは上記の公式サイトに書いてある。

entr is a zero-configuration tool with no external build or runtime dependencies.

guardやgulpと違い、entrは設定ファイルも依存ライブラリもいらない。実装はC言語で書かれている。

macならhomebrewで簡単に入る。他のOSはREADMEを読む限り普通にmake installだと思う。

$ brew install entr

説明が不要なくらい使い方はシンプル。変更を監視したいファイルをパイプで渡してあげるだけ。/_は変更があったファイルを指す。

f:id:kanno_kanno:20181208144744p:plain
(1ファイルなのでfindじゃなくechoで十分だった)


キャプチャでは1ファイルだけ指定しているけど、もちろんgrepによる複数指定が可能。ファイル一覧を渡せばいいのでgrepじゃなくてagとかackとかでももちろんOK。

// 公式サイトより
$ ag -l | entr make

使い方 - オプション

man entrで確認できるオプションについて僕なりの理解。

-c
デフォルトだと実行結果は標準出力にどんどん追加されていく。
f:id:kanno_kanno:20181208145848p:plain
-cを付けると実行のたびに画面がclearされる。watchコマンドの実行結果みたいなもの。

-d
指定したディレクトに新しい追加があった時にexitされる。
fooディレクトリを作ってfind foo | entr -d go run /_を実行したあと、新しくファイルを作ったら「entr: directory altered」というメッセージとともに確かにexitされた。
ちなみに追加ではなく削除してみたら「entr: cannot open 'foo/a.go': No child processes」というメッセージとともにexitされた。(落ちた)

-n
このオプションを付けると「非インタラクティブモード」で動く。デフォルトだと後述するようにentr実行中にキーボード入力を受け付けるが、-nだと無反応になる。どういう時に使うのかは分からない。

-p
デフォルトだとentrを実行した段階でまずコマンドを実行する。-pを付けるとファイルに変更があるまで実行しない。Postpone(後回し)のpだ。

-r
コマンド実行の度に子プロセスを作り直す。
デフォルトではプロセスツリーはこうなっていて、コマンド実行は同じプロセスで実行される。
f:id:kanno_kanno:20181208160324p:plain

それが-rを付けると子プロセスを作って実行され、再実行のたびに子プロセスは生まれ変わる。
f:id:kanno_kanno:20181208160452p:plain
examplesだとentr -r node app.jsのようなサーバー再起動などで使われているので、リソースをちゃんと解放させたいとかそういう時に指定する感じかな。

-s
引数で指定したコマンドを$SHELLに対して実行する。簡単に言えば指定したコマンドを実行するだけ。
公式の例にある$ ag -l | entr -s 'make && make test'のように、&&とかをちゃんと解釈させて動かしたい時に使うのだと思う。

使い方 - コマンド

entr実行中に受け付けているキーボード操作は2つ。

スペース
即座にコマンドを実行する。

q
entrから抜け出す。

例: SQLファイルを更新するたびにMySQLへ即実行

man entrに載っているexamplesを見ていたらこんなのがあった。

Clear the screen and run a query after the SQL script is updated:

      $ echo my.sql | entr -p psql -f /_

sqlファイルを編集したら即座にPostgreSQLに実行するというサンプル。面白いなと思った。
psqlだとサンプルそのままなので、MySQLで試してみた。

$ echo sample.sql | entr -c -p -s "mysql sample < sample.sql"
  • -cで実行の度に画面をクリア
  • -pで初回は実行しない。何か怖いので
  • -sでコマンドを指定
    • リダイレクト(<)を使うせいか、デフォルトのままでは動かなかった
    • -sを使っているため/_(変更があったファイル)の記述を使えなかった
      • コードを読む限り-sを使っていると無理っぽい

一応これで実行できた。Vimでファイルを編集したら即座に結果が出力される。ただ普段はGUIツールを使っているので実際に使うことはないだろう。

監視対象のファイルが多いとエラー

何も考えずディレクトリを指定したらエラーが発生。

Too many files listed; the hard limit for your login class is 4864

扱えるファイルディスクリプタのソフトリミットを超えたので当然。特に意識したことないけど、guardとか他のツールも同様の制御があるんだろうか。制御がなくてもソフトリミット超えたら落ちるはずだから一緒か。

おまけ

動画を見たのは少し前だったので今日導入したいと思った時にentrという名前を思い出せず、当初の目的はgoで書かれたcespare/reflexを入れて解決した。
そのあとに元動画を思い出して、entrのmanやリポジトリを見たら小さかったので勉強のために出来る範囲で読み解いた。C言語、雰囲気でしか分からないな。ファイルやプロセス周りだから、C言語というよりシステムプログラミングが分かっていないのか。でも「分からないけどちょっと分かる」みたいなレベルを追いかけている時って面白い。